「流浪の月」
流浪の月という凪良ゆうさんの本。
ちょっと前に読んだのだけど、自分の中でどうしても感想をまとめることができなくて時間が経ってしまった…。
今もうまく纏められる自信が無い。
自分がこの作品の何を気に入ったのか考えてみると、主人公の更紗と文の関係だと思う。
更紗と亮くんの関係は、正直言って初めから、反吐が出るほど気持ちが悪かった。
文も亮くんも、どちらも更紗を守ろうとしている。
でも亮くんの場合はどこか更紗を見下していて、高慢だった。
それに対して文は、飾り気のない接し方で、更紗と対等な関係を保っているように思えた。
文はすきとおった水みたいだと思った。落ち着いていて、冷たくてさらっとしている。
あとは、お酒の瓶。この本にはお酒の瓶の描写が複数ある。
出ていってしまったけれど、大好きだった両親と、小さい頃に集めたお酒の瓶。大好きな文とお酒の瓶。
更紗にとってお酒の瓶は自由の象徴なのだと思った。
「誰にも理解されなくていい。独りで生きたい。」という気持ちと、「寂しい。誰かに自分を分かって欲しい。」という気持ち。
この主人公は私とは比べものにならないほど苦しい人生を送っているけど
一見すると矛盾した、二つの気持ちを持ってしまう更紗に共感したし、自分の行動と重ね合わせてしまった。
この人なら分かってくれるかもしれない、と思って期待して、結局だめで、
もう人は信じないと思っても
気づいたら、また自分を解ってくれる人を探している。
それって自分勝手なんだろうか…。
流浪の月を読んで「よく分かんない」と思った人は幸せなんだと思う